若いカップルが、この浜に座り春の陽と遊んでいた。
しばらくすると女性が、立ち上がり海に向かって歩き出す。
たどたどしい歩き方。
ゆっくりと足元を確かめるような歩き方。
何を怖がっているのだろう?
私のそばまで近付いて来て分かった。
目が不自由だったのだ。
男性の方を見やった
じっと彼女の後姿を見つめているだけで動かない。
「何やってんだ!!」
「彼女一人で歩かせるなよ!!」
心の中で叫んだ。
そのうち男性がゆっくり彼女の後を追い腕をとった。
二人で波打ち際まで歩く。
そしてすぐさま引き返した。
彼女は、海の水に触りたかったのではないか?
そんなことを考えたが、二人のことは分からない。
もやもやした気持ちで、二人の姿を見つめる私がいた。