遠い記憶(私にとっては・・・)

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                       紅白帽

                 見えなかった紅白帽
                たいしたものじゃないからと
                つまらないものだからと
                触れようともしなかった

                 丘の上のカップの中にいたのは
                混ざり合おうとしない私達
                液体に含まれていた酷い臭いの沈殿物

                 自我というやいばが
                帽子を引き裂く姿を
                シャボンの中から眺めてた
                でもそれは、いつもの風景
                私は帽子を斜めに被ることもせず
                ただその液の中に浮遊していた

                 今、切り捨てたはずのおぼろげな過去が
                陰鬱な光を降り注ぎながら私を掻き乱す

                なぜあの帽子を手に取らなかったの
                なぜあの帽子を捨て去ったの
                自分は羽根飾りのついた紅白帽を被っていたのに


              彼女とは、小学校3年生の時に同じクラスになりました。
              でも、その一年間で話を交わした記憶がありません。
              声を掛けたくても何故かためらって声が出ませんでした。
              彼女と遊ぶ級友の姿も記憶がありません。
              彼女はいつもうつむいて、時の経つのをまっていました。
              小学校の近くの駅前を学校の中では見せた事のない笑顔で
              お母さんと歩いていた姿、
              遠い記憶として今でも目に焼きついてはなれません。