江ノ電355 腰越(子死越)

江ノ電腰越駅の脇を流れる神戸川の上流でもある
津村の低地に大きな池があって、
五頭竜が住んでいました。

一身五頭の竜は、
洪水や山崩れを起こし火の雨を降らす暴れん坊。
さらに子供を食べてしまいます。


里人は、里の平和を願い
毎年、子供を人身御供として竜に差し出します。

その時、坂を越えて竜の元へ行く事から
子死越(腰越)の地名になったと言われています。

552年4月12日、腰越の海岸に黒雲がわき上がり
地震の鳴動と共に
海上にこつ然と一つの島が現れます。

すると五色の雲がたなびき
美しい天女が左右に童子を従えて
紫雲に乗ってその島に舞い降ります。

天女は、弁財天だったといいます。

五頭竜は、
この天女を見て心奪われ結婚を申し込みます。

天女は、
「おまえは、慈悲の心なく人の命を奪う。
里人は、おまえを恐れ嫌っている。
そのような悪者と
どうして夫婦になれますか。」と断ります。

五頭竜は、深く反省し改心して
天女は、これを評して夫婦になります。

その後、五頭竜は
弁財天と力を合わせ台風から里を守ったり
恵みの雨を降らしたりしますが、
体が弱り山となり島と里人を守ると言い残し
江の島に向って長々と横たわります。

これが‘竜口山’で、
横たわった竜の口の辺りを
「竜の口」という地名として残っています。

(江之島神社縁起絵巻より)