会津線 上三寄 C1119

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1973年6月2日、
横浜開港記念日で中学校が休校となり
当時、中学1年生だった横浜の少年は
ペンタックスSPFが入ったカメラバックに
福島・会津磐梯周遊券を忍ばせ
夜行急行列車ばんだいに乗り込み
会津線を目指しました。

この時が、生まれて初めてのSL撮影
じっくりと
蒸気機関車と対面したかったので
まずは上三寄駅
(現会津鉄道芦ノ牧温泉駅)で下車

この駅でいなわしろ31号との
列車交換が行われるため
1391レは、
30分間、停車するのです。

上三寄駅を降り門前駅方面に戻り
田んぼのあぜ道で
1391レを待ち受けます。

会津の里に田植えの季節が訪れ
田には水が張られ
会津盆地の山が映り込んでいました。

その景色の中をポっポっと
やって来たC11は、
まるでオモチャの機関車のよう

上三寄駅に戻り
C11 19号機と間近で接します。

小さいながらも
その黒い体を見つめると
やはり蒸気機関車ならではの
力強さを秘めているように感じました。

しばらくして湯野上方面から
いなわしろ31号がやってきて
列車交換

いなわしろ31号には
地元の中学生たちが乗り込んでいき
開港記念日のおかげで
今日が休みの横浜の中学生は、
何となく得した心持

いなわしろ31号の
ディーゼル音が消えると
上三寄駅には
再び静けさが戻りました。

その静けさの中
C11 19号機の発する
回転火の粉止めの音が
とても大きく感じます。

これから始まる急勾配に備え
C11が
息を整えた時間も終わり
上三寄を離れる時刻になりました。

小さな体に似つかない
力強い白煙が
会津の里に上がります。