朝の光ー自己紹介(思考)

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冬の寝ぼけた朝が訪れる。
昨夜、洋酒を飲み過ぎたせいか頭が重い。
外はすでに青白く小鳥達がさえずっている。
その小鳥達のさえずりに交じって澄んだ空気を射ながらカーン、カーンと金属を叩く音が
時折、私の脳裏を襲う。

家の中は、まだしんみりとしていて、動き出す気配はない。
そんな中で私は、ベッドの上に体を横たえたまま時の流れる様を見ていた。

やがて、空白のままだった私の頭の中で何か蠢くものを感じる事が出来た。
部屋の中までが白くなっていくにつれそれは、
「危険の感覚は失せてはならない
道は確かに短い また険しい
ここから見るとだらだらした坂みたいだが」
という詩であることに気付いた。

以来、私が活字を読む時、文章を書く時、他人の意見を聞く時、
この詩は、しつこい程、私に付き纏う。
今、私はこの詩の中に存在している。

                      1981年7月1日発行
                        同人誌「Communication」に掲載