江ノ電305 月影の谷

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「鎌倉での住まいの場所は、

月影の谷と言うそうです。

海辺に近い山麓で凄く強い風が吹きます。

山寺の脇なのでとても静かで寂しく

波音や松の風音が絶えません。」

十六夜日記・東日記の冒頭部分です。

十六夜日記を記した

鎌倉時代の女流歌人阿仏尼の

鎌倉での暮らしは、

この写真の阿佛邸旧跡の石碑がある場所から

さらに山側の月影が谷で始まりました。

ここに出てくる山寺とは、

当時広大な極楽寺の寺域のうちにある塔頭

月影ケ谷にあった月影地蔵四王院、

法蔵院、無常院などの子院のことでしょう。

阿仏尼は、そこに1年間ほど住みましたが

月影の谷があまりにも寂しい場所で

僧忍性の行う慈善事業で

多くの医療施設が造られ

病人や非人が多かったこともあり

環境や治安が良いとも言えず

親しい人の居た比企が谷、

さらには亀ケ谷(現在の扇ヶ谷あたり)に

住まいを移しています。